道の駅で「喜如嘉の芭蕉布」を見学し、やちむんの工房を訪ね、紅型作りも体験するという伝統工芸に触れながら大宜味村と東村を巡るモデルプランです。大正時代に建築された大宜味村役場旧庁舎のレトロ建築も興味津々。大宜味村で栽培された蕎麦を天ぷらとともにいただくのもとても楽しみです。
地図でコース全体概要を見る沖縄では現存最古の鉄筋コンクリート造り!大宜味村役場旧庁舎
大宜味村役場の手前に佇むのが大宜味村役場旧庁舎です。旧庁舎の完成は大正14年(1925)。それまで沖縄の家屋は木造が中心で、台風とシロアリの被害に悩まされてきたため、当時の沖縄県内では実例の少なかった鉄筋コンクリートで造営したそうです。以降、沖縄戦の戦禍の影響もなく現存している鉄筋コンクリート造りの建物としては沖縄最古。2017年に国の重要文化財(建造物)に指定されました。
特徴的な八角形をした2階部分は、村長室として利用されてきました。八角形にしたのは台風の強風を避けるためとのことです。写真は村長室へと向かうコンクリート製の階段です。かなりの急こう配ですね。
※現在は外からの見学となり旧庁舎内には入れません。
大宜味村観光案内所の映像ホールで貴重な「喜如嘉の芭蕉布」を展示
「道の駅おおぎみ やんばるの森ビジターセンター」の映像ホールには大宜味村観光協会の窓口があり大宜味村を始め、やんばる3村の観光案内を行っています。ここで情報収集してやんばる巡りをするのもおすすめです。
館内には2022年に101歳で亡くなった人間国宝の平良敏子さんが監修した「喜如嘉の芭蕉布」が展示され、その横には平良さんが詠んだ琉歌も飾られています。琉歌の意味も添えられているので芭蕉布に思いをはせるのもいいでしょう。なお、芭蕉布の作品と琉歌は5種類ずつあり季節により展示物を交換するそうです。
映像ホールの屋上は展望所になっています。観光望遠鏡(100秒100円)もあり周辺の風景を観察してみるのもおすすめです。
手作りの登窯で生み出される田村窯の「やちむん」を見学
「やちむん」とは沖縄の陶器を意味する言葉。田村窯は大宜味村津波の山間にあり、田村将敏さん,麻衣子さんが夫婦で作陶しています。2人とも読谷村(よみたんそん)やちむんの里にある北窯で修業したのち2010年に独立してこの地で窯を開きました。唐草や点描など沖縄の伝統技法を意識した作品の数々が揃っています。
窯を開いてからしばらくは灯油窯で窯焚きをしていましたが、登窯を使うことが夢だったという事で、自ら5~6年ほどかけて自作の3連登窯を完成させました。2021年に初めての火入れを行い、それまでの灯油窯と火の力の違いを感じたそうです。現在は1年に2回火入れを行っているとのことです。
沖縄の伝統に田村さんのセンスが加味されたやちむんの数々です。ほんの一部ですが紹介します。左上から時計回りに、6寸皿2750円、5寸皿1980円、フリーカップ1320円、3.5寸マカイ1320円、7寸皿3850円。
次々に運ばれてくる天ぷらもこちらの名物
沖縄でそばというと「沖縄そば」を思い浮かべますが、大宜味村では2010年から蕎麦の栽培をスタート。温暖な気候の沖縄では2月と5月の1年に2回蕎麦が収穫できます。現在では「大宜味村産和そば」としてブランディングしています。大宜味村内で和そばが食べられるのがこちら、「江洲の花」です。
ざる蕎麦セット(天ぷら付き)1000円です。そばはいわゆるニ八蕎麦で、そばの豊かな香りが楽しめます。ゆで卵やプチトマトなど付け合わせも多数。揚げ出し豆腐のタレにそばを付けてもおいしいそうです。
付け合わせの天ぷらは常時20種類近くあり、この日はセロリ、ニラ、バナナ、ゴーヤーなどが運ばれてきました。一巡してもストップをかけなければ永遠に運ばれてきます。店主の「満足してもらいたい」という気持ちから始まったこのサービス。そばとともにありがたくいただきたいですね。
東村特産のパイナップルの商品がいっぱい
2003年にオープンした東村特産品加工場サンライズひがしが、2020年3月に道の駅として登録されました。農産物や加工品を取り扱う直売所、お食事処「東ぬ浜(あがりぬはま)」からなり、直売所の一角では東村の特産品が並べられています。
ラベルの上の方にあるマークが東村特産品の印。東村はパイナップル生産量日本一というだけあってほとんどの商品にパイナップルが使われています。手前から時計回りにあんだんすー378円、BBQソース648円、ローゼル入りのポン酢648円、パイナップルドレッシング594円、タコライスソース648円、コーレーグース540円。
東村のパイナップルを味わいたいという人はパインフローズン300円がおすすめ。パイナップル果汁100%のフローズンで砂糖や添加物は一切不使用。パイナップルそのままの甘酸っぱい風味に心身ともに癒されます。
東村の森の中で伝統工芸作りにチャレンジ
東村高江、県道70号から山道を下った場所にあるのが「びんがたの染や」。店主、染谷唯さんが奥さんの生まれ故郷であるこの地で店を開いたのが2005年。ヤンバルクイナやヒカゲヘゴなど、やんばるのイメージを大切にした紅型作品を制作し続けています。
紅型(びんがた)とは沖縄の伝統的な染め物のことで、かつては王族の衣装などに使用されていました。こちらでは、彩色や隈取など紅型の行程の一部を体験することができます。この日選んだのは、「やんばるのバック」の体験。まずはデザインを選びます。染谷さんが教えてくれるのでビギナーでも安心です。
まずは彩色。刷り込み刷毛を使って好きな色を塗っていきます。ムラなくキレイに塗ることを心がけることが大切だそうです。
次は隈取りの作業。影を付けて立体感を出します。隈取りをしっかりすることで、できあがりの状態が異なるそうです。もちろん染谷さんがしっかりアドバイスしてくれます。
約2時間で終了しますが実はこれで完成ではありません。この状態で自宅に持って帰り、ぬるま湯につけて糊を落として出来上がりとなります。
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