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【学べる観光ガイドツアー】
伊部岳トレッキング

ヤンバルクイナ
【学べる観光ガイドツアー】<br>伊部岳トレッキング

国頭村安田(あだ)に位置する標高353mの伊部岳(いぶだけ)一帯は、イタジイ(スダジイ)など亜熱帯の樹木が生い茂り、ノグチゲラやヤンバルクイナなど希少な生き物が生息する世界自然遺産の森。起伏に富んだ山道をガイドと一緒に歩き、生き物の多様性、森の歴史やそこに暮らす人々との関わりを学びながら、伊部岳中腹にあるオキナワウラジロガシの巨木を目指すトレッキングツアーです。

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≪はじめに≫自然はもちろん歴史や文化が詰まった伊部岳

やんばるエコツアーの第一人者がガイド

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▲右から中根忍さん、奥さんの日登美さん、長男の航(わたる)さん

沖縄市出身の中根忍さんは、やんばるの自然に魅了され1998年に国頭村安田に移住。やんばるエコツーリズム研究所を設立しました。当時はエコツーリズムの概念がまだ十分に浸透しておらず、地域の人々に理解を得られなかったといいます。中根さんはツアー参加者1人200円の環境協力費を設け、その全額を各自治体へ寄付するなどしてエコツアーへの理解を深めてきました。現在では、やんばるにおけるエコツアーの第一人者として知られています。

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▲長男の中根航さんは「記憶に残るガイドを目指したい」と将来の抱負を語る

「伊部岳は自然もさることながら歴史や文化も詰まっています」と話す中根忍さん。琉球王国時代、首里城の建築材や薪などの木材需要の高まりからやんばるの木々が伐採されました。首里王府の三司官(大臣)だった蔡温(さいおん)は植林や育林を推奨し、やんばるの森を守りました。また、1970年(昭和45)、アメリカ軍の実弾射撃演習場が伊部岳に設置されるのを地域住民の猛烈な反対運動により阻止したという歴史も。「平和でなければ自然は守れませんから」と中根さん。本ツアーでは当時の痕跡を垣間見ることができます。
地域の人々によって守られてきた自然豊かな伊部岳の魅力をトレッキングツアーで存分に堪能してみましょう。

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伊部岳登山道の入口からトレッキングスタート

世界自然遺産の森へ足を踏み入れる

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▲登山道入口にある看板で伊部岳についての説明を聞きます

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▲1970年、実弾射撃演習場設置を阻止したことを記した石碑

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▲いよいよ伊部岳中腹にあるオキナワウラジロガシを目指してスタート

まずは、やんばるエコツーリズム研究所に集合しガイドと顔合わせを行います。伊部岳にはトイレがないため、ここで用を足しておきましょう。その後、車で数分ほど移動して登山道の入口に向かいます。ここには、伊部岳の自然や生き物について記された看板があり、ガイドがツアーの見どころや注意点などを説明してくれます。そして伊部岳登山道を進んでいきます。

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さまざまな動植物が生息する登山道をゆっくりと進む

登山道で生き物の多様性を実感

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▲山肌に生えるコモウセンゴケは食虫植物。ガイドが持参した拡大鏡でじっくりと観察

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▲まるで小さな恐竜のような姿のキノボリトカゲ

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▲リュウキュウハグロトンボは琉球列島の固有種。オスは青緑色のきれいな色をしています

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▲エビフライのように見えますが国の天然記念物、ケナガネズミが食べたマツボックリです

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▲途中視界が開け秀麗な伊部岳の山容を眺めることができました

鳥獣特別保護区に指定されている伊部岳一帯には、希少な生き物が生息しています。特別天然記念物に指定されているノグチゲラの鳴き声やドラミング(木をつつく音)が聞こえ、キノボリトカゲやシリケンイモリ、生きた化石ともいわれるキムラグモなど、次々とガイドの中根航さんが見つけその生態などを教えてくれました。そのたびに豊かな自然の中に身を置いていることを感じさせてくれます。

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ついにオキナワウラジロガシと遭遇

こんな森の奥に意外な構造物が

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▲山頂およびオキナワウラジロガシへ向かう道の分岐点

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▲杖とロープを頼りに山道を進みます

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▲せせらぎに手を浸して涼をとります。疲れた体が癒されます

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▲木の幹に開いた丸い穴はノグチゲラの巣穴跡

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▲旧日本軍が使用していた炭焼き窯の跡

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▲まるで森の主のようなオキナワウラジロガシの巨木

スタートして約40分で登山道の分岐点へと到達。伊部岳山頂への登山道は無許可での立ち入りが禁止されているため、オキナワウラジロガシへ向かう山道へと歩を進めます。実はここからの道のりが本ツアーのクライマックス。尾根を伝う細い山道が続き、急な勾配を繰り返します。滑りやすい場所もあるので慎重に進みましょう。途中、石を積み上げた人工物が視界に入りました。「旧日本軍の炭焼き窯の跡です。ここで炭を焼き、安田の海岸から船で炭を運搬していました」と中根さん。こんな深い森の中にまで人の手が入っていたとは驚きです。分岐点から40分ほどで、本ツアーの目的地であるオキナワウラジロガシに到着しました。樹齢300年以上、樹高約23m、幹回り約7m60cm、日本最大のオキナワウラジロガシとされ、その堂々とした存在感に圧倒されます。ここで中根さんが用意してくれたカラキ茶と黒糖でひと息ついたあとスタート地点へと戻りツアーは終了となります。

物件名(かな)
亜熱帯の森トレッキング(あねったいのもりとれっきんぐ)
住所
沖縄県国頭村安田248-1 やんばるエコツーリズム研究所
TEL
0980-41-7966
営業時間
9~18時 ※ツアー催行時間は要問合せ
定休日
1月1日、2日
料金
大人(高校生以上)1人6000円、子ども(小中学生)1人4000円
所要時間
3~4時間
集合場所
やんばるエコツーリズム研究所
駐車場
集合場所にあり
URL
備考
最少催行人数2人。定員6名。対象は小学生以上

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≪終わりに≫ツアー体験者からひとこと

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地域の人々が守り続けてきた森を歩くことでエコツーリズムを考えるきっかけに

今回のツアーは地元のガイドさんと一緒にオキナワウラジロガシを目指して、赤土でできたアップダウンのある道を進むコースです。森の中を進んでいくと、湿度の高い豊かなやんばるの森が広がっており、生き物たちの生活圏空間にお邪魔しているような気持ちになります。途中、ノグチゲラが木をつつくドラミングの音が聞こえたのが印象的でした。
また地域に残る歴史の話も伺い、時代とともに人々と森の生き物たちとが共生しながら森を守ってきたということを実感できました。ツアーに参加した1人として、今後もエコツーリズムの存在意義について考えていきたい思います。

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