やんばるの森の玄関口ともいえる国頭村森林公園を国頭村公認のネイチャーガイド、上開地広美(かみがいちひろみ)さんの案内で散策するツアーです。公園内には沢や尾根、湖があり、生き物も多数生息。「子どものころから生き物が好き」という上開地さんの解説に耳を傾けながら散策すると、やんばるの森の特徴でもある生物の多様性を実感することができます。
小さな森の中に生息する生き物の密度が濃い
▲自分の言葉に責任をもってガイドをしたいと語る上開地広美さん
千葉県出身の上開地広美さんは2011年、環境省やんばる野生生物保護センターウフギー自然館のアクティブレンジャーとして国頭村へ移住してきました。子どものころから生き物が大好きで、学生時代にはヤンバルクイナにゆかりのある山科鳥類研究所(千葉県)や国立科学博物館の研究者と関わったことから「やんばる」を知り興味をもったそうです。
「日本の面積を人に例えるとやんばるの森は小指の先ほど。その狭い面積の中に日本で確認されている生き物の25%の種類が生息しているといっても過言ではありません。生き物の密度の濃さ、多様性がやんばるのすばらしいところです」とやんばるの森の魅力を語る上開地さん。
▲「毛虫好きなので見つけると必ず紹介します!」とヤマンギ(ガの幼虫)を紹介する上開地さん
「毛虫やナメクジ、クモなど苦手な人が多いと思いますが、決してこわくて汚くて気持ち悪いものではないんです。森の中でこんな風に暮らしているんですよと説明をして私が手に取ってみせることで苦手意識を少しでもやわらげる。これが私のツアーの特徴です」。森とそこに住む生き物たちの暮らしに重点を置いた上開地さんのツアーに出発してみましょう。
やんばるの森を気軽に楽しむ
▲集合場所から車で約10分の国頭村森林公園に到着。ここからツアーがスタートします
▲取材時はヤマモモが実をつけていました。落果したヤマモモを食べると甘酸っぱさが口の中に広がりました
▲シークヮーサーの葉は果実と同じ香り。こういう体験ができるのもガイドツアーならでは
国頭村観光協会(道の駅ゆいゆい国頭)に集合後、各自の車で国頭村森林公園へと向かいます。国頭村森林公園は標高約220mの所にあり、散策路や展望台、キャンプ場などが整備されています。約3kmある散策路は、起伏に富みイタジイやイジュ、ヒカゲヘゴなどの植物に覆われやんばるの森にふさわしい様相を呈しています。
見過ごしそうな小動物がいっぱい
▲公園として整備されていますが豊かな自然に包まれています
▲道端に現れたシリケンイモリ。ストレスを与えないよう丁寧に触れてみます
▲上開地さんが大好きな毛虫を見つけました。毛虫の大部分は毒がなく恐れなくても大丈夫とのことです。ちなみにこの毛虫はヒトテンアカホシコケガの幼虫です
▲辺土名湖(へんとなこ)にかかる浮き橋から水生生物の姿も見ることができました
▲辺土名湖の周辺では美しいベニトンボの姿も
「散策路のなかに尾根と沢があり道中の変化が楽しめます。またヤンバルクイナが棲む環境を感じることができるのもここの特徴です」と国頭村森林公園の特徴を語る上開地さん。階段を下ると沢が現れ、ハグロトンボやシリケンイモリが。階段を上り尾根へと出るとキノボリトカゲが現れ、湖では水辺にすむ生き物を観察できました。その他、食虫植物のコモウセンゴケ、ホルストアマビコヤスデなど約3時間の行程で数えきれないほどの動植物を見て知ることができました。公園内なので年齢を問わず「やんばるの森」を体感できる気軽さもうれしい限りです。
豊かな知識とやんばる愛に満ちたガイドの案内でやんばるの森の奥深さを知る
上開地さんと一緒に散策路を歩いてみると、一歩進むごとに植物や生き物たちの“発見”がありました。最初は圧倒されましたが、だんだん目が慣れてくるに連れ、自分自身でも生き物の存在に気が付くようになりました。
上開地さんはとてもお話上手で、知識の豊富さを超えた「やんばる愛」が伝わってきて、時間をかけながらじっくり楽しむことができました。特にツアーの最中にイノシシたちがついてきたという話は微笑ましかったです。
時間帯や季節によっても植物や生き物の様子が変わると聞き、ぜひまた参加したいと思いました。
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